2017年6月14日(水)19:00より、法人会員のインプレス様の会議室をお借りして第1回ホロス2050会員会議を開催いたしました。当日の映像アーカイブを限定公開いたします。
映像アーカイブは、以下の四部構成となっています。
①第1回ホロス2050会員会議_1/4_ご挨拶_自己紹介
会議の「ご挨拶」と「自己紹介」のパートです。一部の映像に付された「メモ」は、次回以降の会議につながるヒントになるのではないかと思って高木がつけたものです(以下同)。
②第1回ホロス2050会員会議_2/4_未来技術のヒント_実験プロジェクト提案概要
会議の「未来技術のヒント」と「実験プロジェクト提案概要」のパートです。
③第1回ホロス2050会員会議_3/4_ディスカッション
会議の「ディスカッション」のパートです。
④第1回ホロス2050会員会議_4/4_前編_後編_メモ一覧
会議の全体を通して閲覧できるように「前編」「後編」にパートわけした映像です。
また各映像に付した「メモ」を一覧でまとめました。
※当ページのURLは、会員の方のみにお知らせさせていただいております。その点にご留意いただき、URLの公開はお控えください。よろしくお願いいたします。
■170614_ホロス2050会員_前編(1:8:50)
■170614_ホロス2050会員_後編(50:02)
【メモ一覧】
■170614_ホロス2050会員_01_01_ご挨拶
・服部桂
この本を読んで面白かったねで終わるのではなく、だからどうするのか、という次のステップが重要。この中に書かれた知見の理解を深めると同時に、これを起点に新しい未来を創っていくということを具体的にやらなくては、ケヴィン・ケリーがこの本を書いた本当の意味も生きてこないと思います。
■170614_ホロス2050会員_01_02_自己紹介
・岸本充_理化学研究所
理化学研究所は、文科省傘下の研究所。50年後くらいの未来をどう創っていくか、専門家集団を分野を超えて作っていく立ち上げを担当している。ホロスの活動にも非常に興味を持っており、我々の連携している国内外の研究機関とも一緒に展開していける可能性もある。
・村越力_電通
たまたま未来予測プロジェクトをやっている。今、未来予測の本 いっぱい出ている。自分たちの会社の未来 どうなっているのだろうと思っているお得意さんが多い。1万年前、文字ができたころから考えるとか、普通の未来論の上をいくような話、ずいぶん刺激をいただいた。コーチングとかカウンセリングが面白いと思って勉強している。モノは皆やっているが、心の中に入っていくとどうなるかに興味がある。
・佐藤大樹_日立
日立製作所の基礎研究センターの研究員。日立東大ラボに所属。去年、日立が大学に入ってオープン・イノベーションをやっていこうということで設立した。東大のほか、北大と京大にも設立している。我々は「ソサエティ5.0」と呼んでいるが、情報社会の次にくる社会を予測し、発信し、政策提言までできるようにしていきたい。バックグラウンドは心理学とか脳科学の研究で、人の心はどうなるのか、人間を中心とした社会というのを考えていくのがミッション。
・朝康博_日立
人の心をモデル化する研究をしている。
・柏原裕一郎
IoTのお手伝いをしているが、人は楽になります、生産効率上がります、そのあと何がどうなるのか、誰も何も言えていない。困ったな、という状況。
■170614_ホロス2050会員_01_03_未来技術のヒント
・高木利弘
「観る本」あるいは「読むテレビ」(P.119)の実験ができたらいいと思う。ユーザーが「世界中の本をひとつのネットワーク化した文献に編み上げていく」(P.131)とはどういうことなのか?
■170614_ホロス2050会員_01_04_なぜ実験プロジェクトなのか?
・高木利弘
今のGoogleとかFacebookとか、そんなものじゃない。もっとすごい「電子的な百科辞典」の時代がやってくる。ぜひ、それを「実験プロジェクト」でやっていきたい。 アップルが時価総額一位になる原動力として、日本文化(禅、美意識、職人芸)は相当貢献している。 これから先、世界がどこへ向かっていくのかわからない中、その答えは日本文化にあるのかもしれない。答えに一番近いところにいるのが我々、日本人なのではないか? 2000年にKacis(Knowledge Circulation System with AI)を開発。今のWeb、あふれる情報を整理できない。次世代Webは、今のWebとは比較にならないほど優れたツールになるはず。2015年にQuelonというベンチャーに関わる。AIを活用してヘイトやフェイクをフィルタリングする技術。 AIを使って建設的なディスカッションを実現することがこれから重要になってくる。 コンピュータと生命の共通点は、いずれも同期システムであるということ。実は、人間社会も同期システムであり、同じコンピュータであればUXの優れたコンピュータのほうがいいように、人間社会もよりUXの優れた同期システムとして設計し直したほうがいい。 マインド・コントロールするのではなく、 皆の心を大切にする社会のほうがいい。
■170614_ホロス2050会員_01_05_ディスカッション
・服部桂
『2001年宇宙の旅』のように、2050年の未来社会について、皆で共通のイメージを描いてはどうか?
・村越力_電通
来を予測する本はたくさんある。技術的にこんなことができるという話はいっぱいあるが、肝心な人間の生活はどうなっているのかというのは書いてなくて、今みたいに、スーパーに寄ってお魚を買って焼いて食べているのかという話はぜんぜん触れられていない。そういった人間の生活に関わる部分の予測がものすごく貧弱。
・服部桂
予想を超えているというのは、予想を超えているとしかいえない。過去30年で予想がどれくらい外れたかというのが、これからもどれくらいはずれるか、というようにアナロジカルに考えることはできるかもしれない。
近代が終わるというのは、工業社会で皆がモノ作りをして豊かになって都市化するというパラダイムが19世紀から20世紀にかけて今の社会を豊かにして人口も爆発的に増やした。そういう社会自体がもう終わってしまっている。もうモノはいい、サービスだよ、心の問題だよと。
・岸本充_理化学研究所
AIとビックデータの時代になると、自然の理解の仕方なども根本的に変わる可能性がある。そうすると、我々が持っている認知バイアスが外れて、新しい世界に直面することになる。そこに適応できるかどうか、不安に感じている人が多い。役所などでもマクロ経済をやっていて、色々な情報を持っている人たちが、ものすごく不安にかられている。 どうやって生き残っていくかといったような発想になっている。未来の技術予測みたいな話は色々あるけれど、一方で認知バイアスが外れたときにどうなるのか、たとえば先ほどの禅の人であるとか、密教の修行僧みたいな人たちが、外れたときの生き抜き方とかを何百年かかって培ってきている。テクノロジーサイドの人たちと、先ほどリベラルアーツと言っていましたけど、そういう人たちの間での対話の中で、何がしか未来があるのではないか。
・服部桂
未来を予測する方法論自体も論じなければならない。結論としては、未来を完全に予測することはできないが、どういう仕方で未来を論議したら、皆が納得してヒントになるのか。
どういう質問をすれば、見えないものが見えるようになるのか、たとえば、TEDのスーパープレゼンテーションは、すごくいい質問、こういう視点でやったら、こういう風に見えるんだといった発想法。そういうものをみんなに投げてみると、ディスカッションが盛り上がって、先が見えてくるということがあるかもしれない。
たとえば、2050年に消えるもの、これからなくなるものをリストアップして、何故なくなるのか、なくなった場合、それが何に変わるのか、ひとつの問題設定として考えてみるのもいいかもしれない。
・村越力_電通
いい質問というのは、前提となっている思い込みが違うというのが分かるようなものだと思う。モーターがどれだけ世の中を変えたか、最初にエンジンを作った人には思いもよらなかったこと。今、AIについて、頭で考えることを置き換えるみたいなことを考えているが、それは馬車の代わりにモーターで走らせたら楽になるというレベルのことでしかない。だから、たとえばスマホの中で何十も何百もAIを組み合わせたらこんなことができるみたいなことを描き出せたら、それは問いかけになると思う。
消えるかもしれないということに関して思っているのは、戦国時代が終わったとき、藩どうしが殺し合いをしているというのは本当にバカらしかったよねということが分かって終わった。今、日本で何をやっているかというと、企業どうしが殺し合いをやって、同じようなもののためにセールスマンが同じようなことをやってというのは、ものすごい無駄なこと。戦争する藩がなくなったように、殺し合いをする会社みたいなものがなくなるのではないか。江戸時代でいうと元和偃武で戦争なしということになったみたいな。
・服部桂
市場というのが戦争のアナロジーを違う形で、殺しあわないでモノで潰し合うみたいなことをやってきた。闘争本能みたいなものは変わらない。昔は実際に殴り合って殺しあっていたのを、スポーツでルールで技が強い人を勝ちとするみたいにアウフヘーベンしていった。
たとえば、ウィキペディアを皆でよくして学習したほうが、よりいい学習ができるかもしれない。しかし、昔であればブリタニカはそれをやると売れなくなるからやめてくれということが、それを取り外したら、人間の知識とかレベルが上がるといったような。そういうネタはいっぱいある。
今まで勘違いしてきたことが、何故勘違いしてきたのか。たとえば、Googleとかテスラとか、非常識なことをいっぱいやっている。ストックからフローになる。パッケージから、皆フローにしたらどうなるのか、何ができるのかみたいな。
ケヴィン・ケリーの本を読んで面白いねじゃなくて、自分の会社がその通りになったらどうなるのか、ということを考えてみると見えてくるかもしれない。
・稲葉栄作
貨幣は何のためにあるのか、という原点が崩れるのではないかと。今の貨幣は、自分が自由なことをするためにお金を儲けるのだという発想。でも、大金持ちの人は別のことを考えていて、貧しい国の人は明日どうやって食べていったらいいかというのが今の世の中。そうしたシステムは限界にきている。これはテクノロジーやインターネットで変えていかないと、皆不幸になってしまう。戦争が近づいているという感覚がすごくある。
・高木利弘
実際に戦争でそういう問題を解決しようとしてきた歴史がある。お金の問題というのは、結局、資源の再分配の問題。それが市場原理とか、お金を稼ぐという方式だと、非常にアンバランスだし、ミスマッチがある。それをどうしたらいいかということをどう問題設定できるか。市場原理では、消費者と生産者は敵対関係になってしまう。これを、たとえば有機農法に関して、お互い顔の見える関係でコミュニケーションをすると、市場を通さない形でお互いハッピーになるような関係を作れるという例がある。需給曲線で交わるところでやればいいというのが破綻しているのは分かっている。それをどうやってAIとかを使ってミスマッチをなくすか。食料問題では、一方で飢餓で苦しんでいる人がいっぱいいるのに、もう一方で、余って捨てているのがいっぱいある。いいものではなく、悪いもののほうが流通してしまう。そういうことは、村越さんの言っている色々な本には書かれていないかもしれない。実際の生活の中で、今の問題点はこれである。それに対してITを使ってもっといいシステム設計はできないものかと、そういう話ができたら面白いのではないか。
・稲葉栄作
GDPという考え方は完璧に崩れると思う。昔、NHKの番組でやっていた、すごい貧民国のネパール、ロバに乗ったおじさんがニコニコしていた。 この違いは何なのか?
・服部桂
なくなるものの中で、まさにお金がなくなるのではないかと言われている。その機能はブロックチェーンになるのかもしれないし、シェアリングするための価値分配というのは、ネット方式のお金に代わるものになっているかもしれない。お金自体が、昔は物流のネットワークだった。根本は変わらないが、再分配をどうやってやっていくかは、ちょっとずつ変わっていくかもしれない。
・稲葉栄作
今、日本は赤字国債を出している。60年で償還するとしているが、無期限で償還しなくていいと。いくらでも貨幣は刷れる。ということにすれば、貧しい人たちに豊かな生活を与えることはできる。誰が損をするかといえば、誰も損はしない。そろそろそういうことに気づかなければならないと思う。
・服部桂
情報の場合はいくらでもコピーして増やせるが、我々の有限な要素がシェアの対象。時間とか寿命とか。いくらデジタルでお金を刷っても無理なものはある。そういう制約条件がより顕在化してきて、それを前提にしないと、永遠に死なないし、お金儲けできるというわけではない。病気になったり、死んでしまったりする。そういうボトルネックが常にあるということ。
・近藤潔
私のよく見ていたマンガで、ハンナ・バーベラの『The Jetsons』というのがあって、そのマンガを見ていると、テクノロジーがいかに進化しても人間自体は変わらない、という人がよく出てくるが、その辺に答えがあるような気がする。
・村越力_電通
今、悲観的な未来予測が多いが、その中でも幸せに生きているライフスタイルの若い人たちがいっぱいいる。そういう話も入れていきたい。
・TakekiOizumi
お金の話が出てきて思い出したが、メルカリで物々交換が成り立っているというのがある。そういったものが今までとは異なるスピードで共有されることで、日本語しゃべっている人と英語をしゃべっている人の間でとか、国の違いとか、テクノロジーの力で共通の感覚が持てるようになるのではないか。2050年には、相互に理解しやすいものがテクノロジー的に成り立っていて、相互コミュニケーションを今まで取れていなかったので、知覚も含めて感覚的に違うものになっているのではないかと思っている。
・佐藤大樹_日立
やはり人間中心というのが強いなと思っていて、インターネットでテクノロジーの進化は速いが、人間の進化はそんなに速くない。30年前の生活を考えたとき、変わらない部分も多いような気がしている。人間の生活として何が変わっていないのか、変わったものというのはわりと表層的なもので、逆に変わらなかったものをを考えるというのがヒントかなと思う。
・朝康博_日立
とても刺激を受けた。ひとりひとりが達成感を味わえるような社会、今の企業どうしが無駄にせりあっているのを解消していく社会とか、そういった人の豊かさとか人の基本に価値を見出す社会の実現に向けて技術が進展していくのだろうと思う。
今の効率化・最適化という技術の進化もあり、少しずつではあるが人の豊かさとかやさしさに向けた技術も出てきてはいる、しかし最初に言った社会とはまだ結びついていないし、豊かな社会のほうがいいというのは冷静になれば自分もそう思うが、モチベーションがそっちに向こうとしきれないところもある。そこは技術が足りないのか何なのか、考えさせられた。
・柏原裕一郎
何かスタイルを考えたほうがいいと思う。これがなくなればいいねというリストを作って、それがなくなるためにはどうしたらいいのか、どういう技術が必要で、どのようなことをやったらいいのか、技術で解決できないことはこういうことでといったように。
広告代理店はいらないのかというと、よく真ん中飛ばして直接やったほうがいいよという、インターネット・ショッピングの発想でいうとそうなるが、ダイレクト・リンクでやればいいという、原本に全員がリンクすればいいという考え方はあるが、一方、解釈をしているヤツが横にいて、この解釈わかりやすいよねという場合、この解釈をどうするのかという、こちらのほうが価値があるよねということが出てきたりする。
総論賛成だが、これだけ情報が伝わるようになっているのに、この不平等が残っているのは何故か、なくそうと思ったらどうしたらいいのか、そして、それって本当に幸せなのか、全員がiPhoneを持っていて、iPhone以外持っていないとい社会は本当に幸せなのかと。アップルが国連的企業になって、誰も金を払わなくても自動的にアップデートされていくという社会がいいのだとすると、そういう社会にすべきなのか、といったことを考えていったら面白いのかなと思った。
・山本陽一_インプレス
Koizumiさんがおっしゃった「多くの大人が子どもを支えるということに技術は使えないか」ということや、朝さんがおっしゃった「技術は効率だけではない。効率だけを求めるのは本当にいいのか」といったお話が面白かった。
高度なネットワーク社会とグローバル経済が二人三脚で進んでいて、国境を超えてグローバルな経済と高度なネットワークがセットで動いていて、国境の問題をどう考えるのか、国境を超えて技術が入ってくれば、格差も一緒に入ってくる。この問題、技術だけ考えると2050年のことを考えればいいのだろうけど、実際に目の前にシビアなことが起こっているので、それについてどうしていけばいいのかということも大きい。
もうひとつ思ったのは、技術といのはやはり人間の理性を超えている。こないだの未来会議でアーサー・C・クラークの話が出て、技術が理性を生み出したのだということ、これは木田元という哲学者も言っていて、ということは必ずしも理性が技術をコントロールできるわけではないということ。せっかく2050年を考えるのであれば、その恐ろしさも考えながらやる、特に目の前に危機があるのだから、それを考えるきっかけになればいいと思った。
・高木利弘
できれば皆さん、Facebookの「ホロス2050会員コミュニティ」に入っていただいて、そこで議論を続けられたらと思います。まだFacebookのIDを持っていらっしゃらない方は、IDを取得して私にご連絡ください。登録させていただきます。
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